尊厳死

1. 尊厳死とは
尊厳死(Death with dignity)とは、末期がん患者など治癒の見込みがない人に対する最後の時を過ごすための終末期医療(End of Life Care)の中で、人間が人間としての尊厳(Quality of Life)を保って死に臨む事です。

2. 本人の意思・家族の理解の重要性
尊厳死は、本人の自己決定によるものですが、その実現には家族の理解も非常に重要です。医療関係者も患者の希望のみならず、家族の同意をも重要視します。家族が反対したら尊厳死は認められないとか、家族が希望すれば尊厳死が叶えられると言う事ではなく、本人の意思が先ずあり、それに家族が同意すると言う形が重要です。

3. 尊厳死の法的な根拠
実際日本には尊厳死に関する法律は未だ有りません。終末期の延命措置中止を選択する自己決定権は憲法が保障する基本的人権の一つである幸福追求権(憲法第13条)に含まれるとの考え方や、尊厳死を認める幾つかの地裁レベルでの司法判断も出ており、法的に認められていると一般に考えられています。

4. 尊厳死と安楽死の違い
尊厳死は、人間の尊厳を保って自然に死にたいと言う患者本人の希望を叶える事を目的として人工的な延命措置を止め、その結果として自然な死を迎える事です。一方、安楽死は、患者の肉体的・精神的な苦痛からの解放・本人の明確な意思表示・病気の快復の見込みが無い・治療の代替手段が無い事を条件として、薬物などによって人為的に死をもたらす事を言います。

尊厳死
(消極的安楽死)
胃ろう・人口呼吸器等を利用した延命措置の中止・差し控えは消極的安楽死として、日本や英国では法的には認められておらず、裁判で認められたり認められなかったり様々ですが、実際に終末期医療の現場では行われています。
安楽死
(積極的安楽死)
致死量の薬物の処方・投与で死を早める事は積極的安楽死として、日本や英国では未だ法的に認められていませんが、海外には法的に認められている国もあります。

5. 海外の事情

尊厳死が法的に認められている国 スイス・米国・フランス・ドイツ・オーストリア・クロアチア・スペイン・ハンガリー・フィンランド・ポルトガル・デンマーク・イタリア・台湾・韓国
安楽死が法的に認められている国 オランダ・ベルギー・ルクセンブルグ・スイス・オーストラリア・カナダ・コロンビア・米国の一部の州(オレゴン州・ワシントン州・モンタナ州・バーモント州・コロラド州・カリフォルニア州・ニュージャージー州・ハワイ州・コロンビア特別区)(こちら

英国では、尊厳死も安楽死も法的に認められておらず、自殺幇助として犯罪行為となり懲役14年の可能性もあります。しかしながら、近年、個々の実際のケースとして尊厳死を認める様に裁判所に訴え、それが認められたり、認められなかったり様々な判例がある様です。そして実際の医療現場では、本人や家族の求めに応じて、違法に自殺幇助がなされていると言う報告もあります。

6. 詳しい情報
尊厳死について、より詳しい情報をお知りになりたい方は、以下の団体のサイトをご覧ください。

国名 団体名・住所・連絡先
Dignity in Dying
181, Oxford Street, London W1D 2JT
020 7479 7732
 https://www.dignityindying.org.uk
日本尊厳死協会
〒113-0033
東京都文京区本郷2-29-1 渡辺ビル 202
 03-3818-6563
 http://www.songenshi-kyokai.com