大まかな英国と日本の相続税の比較は以下の通りです。
英国相続税 |
日本相続税 |
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配偶者に対する優遇 | 配偶者が全資産を相続する場合 全額非課税。更に死亡配偶者の非課税枠未使用残は生存配偶者に引継ぎ可。 |
1億6,000万円、又は配偶者の法定相続分までのどちらか大きい金額まで非課税 |
非課税枠 | Nil Rate Band £325k Residence Nil Rate Band £175k(*) |
3,000万円 + 600万円 x 法定相続人数 (生命保険金・死亡退職金) 500万円 x 法定相続人数) |
相続税率 | 40% | 10%-55% (税額控除有り) |
申告納税 | 相続発生後、執行人が 申告・納税 |
相続の執行後、 相続人が申告・納税 |
海外資産の取扱い | UK Domiciledは、全世界の資産が相続税の対象。 Non UK Domiciledは、英国の資産のみが相続税の対象。 英国に過去20年間で15年以上居住している場合は、他の要件との組み合わせで、UK Domiciled と見做される場合もあり。 (**) |
日本国籍を有する人が、日本の非居住者になって10年未満で亡くなられた場合は、日本資産のみならず、全世界の資産が日本の相続税の対象。 日本国籍を有する人が日本の非居住者になって10年以上経って亡くなられた場合は、日本資産のみが日本の相続税の対象。 (**) |
申告納税期限 | 6か月以内 | 10か月以内 |
(*)住宅非課税枠(Residence Nil Rate Band)は住宅が相続資産に含まれており、子や孫が相続人に含まれている事が条件です。
(**)日本と英国とでは、租税条約を結んでおり、個人所得税・法人税・年金等の海外の所得に対して源泉国か居住国のどちらの国で申告・納税するかが取り決められていますが、相続税はその対象に含まれていません。しかし、例えば皆さんが日本に相続資産があり、その相続資産に対して日本で相続税を払わなければならなかったら、その日本で支払った相続税は英国でForeign Tax Credit Relief という制度の対象になる場合もあります。
英国では、相続税率が40%と一律ですが、日本では、課税対象額によって税率が10%から55%と大きく異なります。 従いまして、相続資産の少ない場合は日本の相続税の方が有利で、相続資産が多い場合は英国の相続税の方が有利と言えると思われます。 そして、英国の相続税では、死亡配偶者の非課税枠の未使用残は、生存配偶者が引継ぎ可能で、非課税枠が二倍になり得る点は、大きな魅力です。