遺言書Q&A

皆さんからお寄せ頂いたご質問をその回答と共に以下にご紹介します。今後も新たなご質問が有りましたら随時追加して行きます。皆さんの参考にして頂ければ幸いです。

1 (Question)
数年前に夫と一緒に遺言書を書き換えましたが、法律的に何年毎に書き換えなければ無効になるとかありますか。
 (Answer)
遺言書は無期限で有効です。しかし数年毎にご自身の状況を見直し、別居・離婚・再婚・死別等の婚姻・家族関係の変化、相続執行人の死亡等がありましたら、遺言書の一部修正又は全部新しい遺言書に作成し直す事をお勧めします。そうしないとその遺言書が無効になるケースも有ります。
2 (Question)
遺言書を作成した人が亡くなりますと、どの様に手続きが進められるのでしょうか。
 (Answer)
遺言者が亡くなりますと、その遺言書が法的に有効かどうか裁判所で検認を受けた後、その遺言書に記載された相続執行人(Executor)が必要な相続税を支払い、相続資産を相続人に分配します。
3 (Question)
遺言書について、知人から何か市販されている遺言書に記入して二人の証人の署名をもらえばそれで有効だと聞きましたが、それは正しいでしょうか。
 (Answer)
基本的にその理解は正しいです。相続資産が英国のみにあり、相続人も英国居住者で被相続者と相続者がシンプルな関係でしたらそれで結構かと思います。しかし、離婚・再婚等で複数の家系の相続人が居たり、又はご自身の相続資産が英国や日本にあったり、相続人が日本居住者であったりする国際相続等の場合は専門家に相談する事をお勧めします。
4 (Question)
遺言書やLPAの証人の職業について何か特別な条件は有りますか。
 (Answer)
遺言書やLPAの証人の職業は、特に条件はありません。18歳以上の成人で、遺言書の場合はその証人が相続人、又は相続人の関係者で無い事のみが条件です。LPAの場合は本人を2年以上知っている人である事が条件です。
5 (Question)
私は英国と日本に資産が有るのですが、英国資産の遺言書と日本資産の遺言書を別々に作成した方が宜しいですか。
 (Answer)
日本の財産はどの様に相続させるか、別の日本の遺言書を作成する事は出来ますが、英国の遺言書にはその日本の財産も含めてどの様に相続させるかを明記しておく事をお勧めします。と言いますのは、あなたが過去20年間中15年以上英国に居住していましたら、あなたの英国資産・日本資産の両方が相続税の対象になるからです。
6 (Question)
私は英国には不動産も無く、余り心配していませんが、日本の相続財産については、日本の弁護士に相談したいと思っていますがそれで宜しいですか。
(Answer)
もしあなたが英国で死亡して、過去20年間で15年以上英国居住者であった場合、あなたの英国資産のみならず日本の資産も英国の相続税の対象になります。どなたかが死亡した場合、先ずは相続資産はいくらあるか、遺言書はあるか・無いか、そして遺言書が無い場合は誰が法定相続人かを特定するのは大変困難な作業です。従いまして、もしあなたが英国に骨を埋めるお積りでしたらその日本資産も含めてどなたに相続して欲しいか英国で有効な遺言書を作成する事をお勧めします。
7 (Question)
遺言書を作成せずに死亡した場合、相続する家族・親戚縁者が居ない場合は最終的には国がその相続財産を没収する事になるのですか。
 (Answer)
はい、そうです。被相続人に配偶者・子・孫が居ない場合は、次の相続順位として父母、その次に兄弟姉妹(又は甥・姪)、その次に異父母兄弟姉妹(又は甥・姪)、その次に祖父母、その次に叔父叔母(又はその子)、その次に異父母叔父叔母(又はその子)の順に相続します。それらの親戚縁者が居ない場合は国が没収します。その様に、遺言書無しで死亡すると、その人に法定相続人が居るか・居ないかその人の親戚縁者を辿る事は大変時間と費用が掛かりますので、その点からも相続資産の多寡に拘わらず遺言書を作成する事をお勧めします。
(Question)
私の友人で英国在住の70歳を過ぎた日本人ですが、英国にも日本にも家族が居らず、英国籍も取得せずに日本国籍のままハッピーに暮らしています。もしその方ご自身が亡くなられた場合、日本大使館には死亡者の身内の人が死亡届を提出して、日本の戸籍の抹消手続きがされると理解していますが、その様な英国にも日本にも身内のいない場合はどうすれば宜しいのでしょうか。英国籍に代えた方が簡単でしょうか。
 (Answer)
日本大使館領事班戸籍担当者と確認しましたが、死亡届を提出出来る人は、原則同居の親族、又は同居者等で、親族の場合は同居していなくても可です。同居者や親族が英国にも日本にも居ない場合は、どなたかが日本大使館に出向いて事情を説明すれば、日本大使館の職員が代わりに死亡届の届出人になるのも可能との事でした。その様な死後の諸々の手続きは、遺言書の相続執行人(Executor)に日本語の分かる人を指名し、その相続執行人に以下の様な他の事も含めて依頼されるのをお勧めします。
1)お住まいのCouncilへの英国の死亡届の提出
2)日本大使館へ死亡の連絡をし日本大使館の職員が死亡届を提出
3)英国・日本の年金事務所への連絡
4)英国・日本の銀行口座・クレジットカードの凍結
5)電気・水道・ガス・固定電話・携帯電話・インターネット・TV Licence等のキャンセル
6)葬儀・埋葬の手配
7)相続税の支払い・相続の執行
日本大使館への死亡届が提出出来る人がいないと言う理由だけで日本国籍を英国籍に変更する必要は無いのではと思います。日本大使館への死亡届の提出についての詳しい情報は、この終活ウェブの日本の死亡届のページ(こちら)をご参照下さい。
9 (Question)
弁護士から遺言書・LPAの作成料として以下の見積もりを頂きました。これは妥当な金額でしょうか。
*遺言書作成料(二人分) : £350+VAT + disbursement
*HM Land Registry : £100+VAT + 第三者費用 (£3~£20)
*LPA作成料 (二人分) : 2件(Finance と Health)で£600+VAT + 登録料 £82 x 2 = £164
*日本人弁護士の日本語サポート : £225+VAT/時間
(Answer)
はい、私の場合は夫婦二人分の遺言書で£500+VATでしたので、遺言書の作成料の見積もりは非常に妥当だと思います。LPAの作成料に就いては、LPA Q&A の質問番号 14 (こちら)をご覧ください。