贈与税

英国の贈与税

英国の贈与税
英国には、贈与税 – Gift Tax と言う名称の税金は無く、贈与に関する税金は相続税に含まれています。 従いまして、贈与に関する税金については、相続税の項目を参照願います。

 

日本の贈与税

1) 贈与税とは
贈与税とは、個人から財産をもらったときに掛かる税金で、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合や、債務の免除などで利益を受けた場合も贈与税が掛かります。

 

2) 課税方法
贈与税は、以下の様に暦年課税されますが、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与については、暦年課税と相続時精算課税のどちらか一方を選択出来ます。 父母・祖父母の有る特定の贈与者からの贈与について、一旦相続時精算課税を選択すると、その同じ贈与者に対してその後暦年課税への変更は出来ません。

暦年課税 1月から12月までの暦年の贈与に対する課税で、基礎控除額は年間110万円。年間110万円以下の贈与は非課税で申告不要。基礎控除額を超えた贈与額に対して金額により10%-55%課税(控除有り)。
相続時精算課税 60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与について、子・孫が選択出来る制度。累計で2,500万円までの生前贈与は非課税。 それを超えた場合、一旦贈与時にその超えた分に対して一律20%課税。

贈与者が死亡して、相続が発生した時点で、それまでの生前贈与財産の贈与時の価額と死亡時の相続財産の価額を合計して相続税額を算出し、相続税額から支払い済みの贈与税額を控除して贈与税・相続税の精算をする。もし累計で2,500万円の控除額を超えた分に対して支払った贈与額が、相続税額より多い場合は、その過払いの贈与税が還付される。

 

3) 相続時精算課税

適用対象者 贈与者は60歳以上の父母・祖父母。受贈者は20歳以上の子・孫で、その子・孫が暦年課税とこの相続時精算課税のどちらかを選択出来る。年齢は贈与の年の1月1日時点のもの。
非課税額 累計で2,500万円。(贈与財産の種類、金額、贈与回数・贈与時期は無制限。)
税率 複数の年度で累計で2,500万円を超えた年から、2,500万円を超えた分に対して一律20%課税。
相続時精算 贈与者が死亡して相続発生時に、それまでの累計の生前贈与額と相続発生時の遺産額を合計して相続税を算出。その相続税から既に支払い済みの贈与税を控除し、支払い済みの贈与税が相続税より多い場合は還付される。

 

4) 一般贈与と特例贈与
直系尊属(父母・祖父母)から20歳以上の子や孫への贈与を特例贈与と言い特例税率が適用され、その他は一般贈与と言い一般税率が適用されます。

一般贈与・一般税率 特例贈与・特例税率
税率 控除額 税率 控除額
 – 200万円  10% 10%  -
 200万円- 300万円  15%  10万円  15%  10万円
 300万円- 400万円  20%  25万円
 400万円- 600万円  30%  65万円  20%  30万円
 600万円- 1,000万円  40%  125万円  30%  90万円
 1,000万円- 1,500万円  45%  175万円  40%  190万円
 1,500万円- 3,000万円  50%  250万円  45%  265万円
 3,000万円- 4,500万円  55%  400万円  50%  415万円
4,500万円-  55%  640万円

5) 配偶者への贈与の特例
婚姻期間が20年以上の夫婦間で配偶者が住むための土地・建物、或いはその購入資金を贈与したときは、2,000万円まで非課税です。

 

6) 子や孫への贈与の特例
父母や祖父母から子や孫への贈与には、以下の様な非課税制度が有ります。

住宅資金 20歳以上の子・孫への住宅資金。贈与を受ける年度と建物の性能などにより異なります。
教育資金 30歳未満の子・孫への教育資金として、1,500万円まで。
結婚・子育て資金 20歳以上・50歳未満の子・孫への結婚・子育て資金として、1,000万円まで。

 

日本の贈与税について、より詳しくお知りになりたい方は、以下の日本国税庁の贈与税に関するサイトをご覧ください。

 

贈与税-No. 4402 贈与税がかかる場合
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402.htm

贈与税-No. 4405 贈与税がかからない場合
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4405.htm

贈与税-No. 4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm

贈与税-No. 4417 相続税の対象となる生命保険金
http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4417.htm

贈与税-No. 4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除
http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

贈与税-No. 4103 相続時精算課税の選択
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm

贈与税-No. 4503 相続時精算課税の選択の特例
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4503.htm

贈与税-No. 4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4510.htm

贈与税-No. 4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合
 http://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4511.htm

 

英国と日本の贈与税の比較

上記の通り、英国には贈与税は有りませんが、相続税の中に生前贈与のルールが定められています。それと日本の贈与税との比較は以下の通りです。

英国相続税
日本贈与税
年間非課税枠 一人に対して£3,000
(1年のみ繰り越し可)
知人への£1,000, 孫・曾孫への£2,500, 子供への£5,000以下の結婚祝い
通常のクリスマス・誕生日祝い
高齢者・18歳未満の子供への生活費の支援
チャリティ団体・政党への寄付
£250までの不特定多数への贈与
暦年課税 110万円
相続時精算課税として60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫に対して累計2,500万円まで非課税。 贈与者が死亡し、相続が発生した時点で、生前贈与と相続遺産と合算し、既に支払い済みの贈与税と相続税を精算。
税率 潜在的非課税贈与(Potential Exempt Transfer)として、贈与者が贈与後7年生存した場合、非課税。7年未満で死亡した場合は、贈与後の生存年数に応じて8%-40%課税。 暦年課税- 非課税枠を超えた分に対して一般税率と特例税率で
10%から55%(税額控除有り)。
相続時精算課税 – 累計2,500万円を超えた分に対して、一律20%課税。
特例 配偶者への2,000万円までの住宅・住宅資金、子や孫への1,500万円までの教育資金、1,000万円までの結婚・子育て資金は非課税。