遺言書

英国の遺言書

遺言書とは、自身の不動産、金融資産、個人所有物等を自分の死後、誰に譲渡するかを書き残した書類で、以下の項目を記載します。

*相続人氏名
*18歳未満の未成年者が居る場合、誰を後見人と指名するか
*相続執行人
*指定した相続人が自分より先に死亡した場合、どうするか

そして、以下の場合は、専門家の助言を求める事が望ましい。
*配偶者以外の人と不動産を共有している場合
*18歳未満の未成年者に資産を遺したい場合
*再婚等して、複数の家族(子・孫等)が居る場合
*定住地が英国外であったり、海外に資産を所有している場合

遺言書が英国で法的に有効である為には、以下の条件を満たしている必要が有ります。
*遺言書の作成者本人が18歳以上である事
*本人の自由意志・健全な精神状態で遺言書が作成される事
*書面で作成される事(音声テープやビデオは不可)
*18歳以上の成人2名の証人の面前で本人が自署する事
*本人の面前で成人2名の証人が署名する事

遺言書はいつでも何回でも修正出来ますが、以下の場合は見直しが必要です。
*配偶者と別居、又は離婚した場合。
*結婚した場合
*子供が生まれた場合
*転居した場合
*遺言書に記載されている相続執行人が死亡した場合
遺言書を修正した場合は、作成した時と同様に、成人2名の証人の面前での本人の自署、及び本人の面前での証人2名の署名が必要です。

遺言書は、唯一原本のみが有効で、コピーは何の法的効力が有りません。原本は、自宅の金庫・弁護士事務所・銀行・遺言書保管代理店・London Probate Service等で大切に保管し、そして、親族・近親者にご自身の遺言書が何処に保管されているか事前に連絡しておく事が大切です。 詳しくは、以下のサイトを参照願います。

GOV.UK – Making a will
https://www.gov.uk/make-will

 

日本の遺言書

日本の遺言書には、以下の自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書の三種類が有り、それぞれの作成方法・メリット・デメリットは以下の通りです。

自筆証書遺言書 作成方法
遺言者がその全文・日付け・氏名を自署し、押印する。
メリット
本人が自筆が出来、印鑑が有ればいつでも作成可。手続き不要、費用掛からず。書き直し・書き方も自由。
デメリット
書き方を間違えると無効になるリスク有り。本人死亡後、家庭裁判所での検認要。封印の有る遺言書の開封は、家庭裁判所での相続人・代理人の立ち合い要。減失・偽造・変造の恐れ有り。
公正証書遺言書 作成方法
遺言者が公証役場の公証人に遺言内容を伝え、公証人に遺言書の作成を依頼する。
メリット
遺言書として無効になる事は無い。家庭裁判所での検認不要。改竄の恐れ無し。
デメリット
作成に時間が掛かる。費用が掛かる(数千円から数万円)。証人2名の立ち合い要。
秘密証書遺言書 作成方法
遺言者が自分で書いた遺言書を公証役場に持って行き、間違いなく本人のもので有る事を明確にしてもらう。
メリット
遺言書が本人の者である事を明確に出来る。
デメリット
公証人は遺言内容を確認しない為、不備が残る可能性有り。本人死亡後、家庭裁判所の検認が必要。手数料1万1千円掛かる。

総合的に考えて、時間や費用は掛かりますが、公正証書遺言書がお勧めです。

 

法定相続人の遺留分の取扱い

日本の民法では、配偶者、子又は孫、父母までの法定相続人に対して、遺留分と言う法律上保証された相続権が有ります。 そして、遺言書にそれらの法定相続人の相続分が無かったり、少なかった場合、それらの法定相続人は、以下の遺留分を請求する事が出来ます。

*配偶者、子又は孫は相続財産の1/2
*配偶者、子又は孫が居ない場合、父母は相続財産の1/3

遺留分は、相続発生(被相続人の死亡)を知った日から1年以内に請求しなければその権利は消滅します。 そして、相続発生(被相続人の死亡)から10年で時効になります。 どちらにしましても、無用なトラブルを避ける為にも、遺言書は法定相続人の法律で保証された遺留分を考慮して作成する事が望まれます。