日本の成年後見制度

1) 成年後見制度
日本の成年後見制度は2000年に施行されました。 認知症などにより判断能力が衰えたり、知的・精神障がい者で権利を守られる人を成年被後見人、権利を守る人を成年後見人と言います。成年後見人が行う内容は、以下の二つに分類されます。

身上監護 医療・介護保険の手配・契約等を含む被後見人の生活や療養に関する事
財産管理 毎月の電気・ガス・水道料金の支払い、高齢者施設への入居・契約・支払い等を含む被後見人の預貯金や不動産などの管理。


2) 2種類の成年後見制度

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類が有ります。

法定後見制度 既に判断能力が不十分な人の為の制度。本人、配偶者、又は本人の四親等以内の親族が家庭裁判所へ申請し、成年後見人候補者の適否の審判を仰ぎ、成年後見監督人も選任する。成年後見人は、行った業務(後見事務)内容を全て家庭裁判所に報告し、チェックを受ける。
任意後見制度 未だ本人の判断能力がある内に将来判断能力が衰えた時に備え、任意後見契約を結ぶ。実際に判断能力が不十分になった時に、契約に基づいて、業務を代行してもらう制度。

任意後見契約は公正証書として契約し、公証役場から東京法務局に任意後見登録の手続きをする。本人の判断能力が衰え、本人・親族などが家庭裁判所へ申し立てを行い、任意後見監督人を選任して、任意後見監督人が決まった時から契約内容が発効する。


3)法定後見制度の判断能力の3つの類型

本人の判断能力が不十分と認められる場合、その制度によって以下の後見、保佐、補助の3つの分類に分けられます。

後見 自分の子供や親族が誰なのか分からず、常に判断能力が殆ど無い状態。成年後見人は、本人の代わりに契約等を行う代理権、及び本人が行った契約を取り消す取消権が認められる。
保佐 1万円札と5千円札の区別がつかなかったり、火の元の管理を頻繁に忘れるなど、判断能力が非常に衰え、著しく不十分な状態。成年後見人は、民法で定められた9項目(預金、土地、貸家等の取引、借金、保証人、不動産の売買、相続の承認・放棄・遺産分割等)に同意する同意権が認められる。
補助 預貯金の出し入れに不安で、判断能力が少し衰え、不十分な状態。成年後見人は、上記の明法で定められた9項目の内、家庭裁判所への申し立てによって認められた行為に限定して同意権が認められる。


4) 成年後見人になれる人

成年後見人になる為には、20歳以上であれば良く、特別な資格は必要有りません。また、個人でなくとも、弁護士事務所、司法書士事務所、成年後見業務を行っているNPO団体等の法人も成年後見人となる事が出来ます。

例え本人の判断能力が十分でなくとも、人間誰もが一人の人間としての尊厳・意思が有ります。成年後見人は一人一人の尊厳・意思を尊重し、本人の健康・精神状態を十分配慮し、本人の望んでいる事、必要な事を最善の方法で実現させる事が期待されます。

日本の成年後見制度についてより詳しくお知りになりたい方は、以下のウェブサイトをご覧ください。

成年後見制度
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.htm/

公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート
 https://www.legal-support.or.jp/