相続税Q&A

皆さんからお寄せ頂いたご質問をその回答と共に以下にご紹介します。今後も新たなご質問が有りましたら随時追加して行きます。皆さんの参考にして頂ければ幸いです。

1 (Question)
相続人が英国居住者か外国居住者かで何か差は有りますか。そして、英国では相続税を支払ってから相続資産が相続人に分配されます。一方、日本では先ずは相続人に相続資産が分配されてから相続人が相続税を支払いますが、その辺は日本の相続人はどの様に相続税は英国と日本とで掛かってくるのでしょうか。
 (Answer)
相続人が英国居住者か日本居住者かで何か扱いに差があると言う事は有りません。相続税に就いては、英国では過去20年間で15年以上英国の居住者であった場合、英国資産・海外資産の全てが相続税の対象になります。そして、英国の相続税は相続執行人によって支払われた後、相続人に分配されます。一方、日本では日本国籍の被相続人及び相続人が海外に移住して10年未満の場合は日本のみならず海外の相続資産も相続税の対象になり、海外移住後10年以上経過した場合は日本の相続資産のみが相続税の対象になります。そして、日本の相続人が海外から相続資産を受け取った場合は、日本でも相続税が掛かるかも知れませんが、その場合英国で相続税が支払われた分は、その納税証明書を提出する事により外国税額控除として日本ではその分減額される事になると思われます。
2 (Question)
自宅をダウンサイジングして、新しく購入するフラットを相続税対策として子や孫と共同名義にする事を考えていますがどう思いますか。
 (Answer)
そのお考えは、共同購入者は18歳以上である事、その新しいフラットに住む人は、一緒に住まない人に家賃を支払わなければならない事、共同名義で購入して同居しない人が居る場合は投資用住宅と見做され、Stamp Dutyが追加3%掛かる事、再度売却する際にはCGT (Capital Gain Tax)18%か28%掛かかる事、相続の際の住宅非課税枠 (RNRB)が影響する事等を考慮して実際に具体的な金額に基づいて専門家にシュミレーションを依頼し、それが相続税の節約になるかどうか事前に確認された方が宜しいかと思います。
3 (Question)
孫の学費一学期£7.2kを援助したいのですが、どうすれば良いですか。
(Answer)
贈与の年間非課税枠£3k、夫婦二人で£6k、昨年分を未使用の場合2年分で£12kまで非課税枠があります。或いはご自身の定期収入から支出出来れば支出し、又は一時金で支払いPET – Potential Exempt Transfer (潜在的非課税贈与)の7年ルールに期待する等を検討されては如何でしょうか。詳しくはこの終活ウェブの英国相続税のページ(こちら)をご参照下さい。
4 (Question)
11年前に息子に家の購入資金の一部として援助した£400kは既に7年を過ぎていますので、相続税の対象外が確定したと思って正しいですか。
 (Answer)
その通りです。
5 (Question)
出来るだけ相続税を節約する方法は、出来るだけ使うと言う事で宜しいですか。
 (Answer)
相続税を節約する為には、先ずはご自身の相続資産が総額いくらあって、誰に相続させたいか、その場合、相続非課税枠は超えるか超えないか、超えた場合実際相続税はどの位になるか、年間非課税枠(Annual Exemption)を利用して生前贈与はどうか、或いはその枠を超えて一時金で贈与しPETの7年ルールに期待するのはどうか、チャリティ団体への寄付は全額非課税だがどうか等を考慮されては如何でしょうか。相続させたいと思う方がいらっしゃらないのでしたら、ご自身で使い切る事が一番だと思います。
6 (Question)
私は英国と日本に資産が有りますが、それをどの様に日本の相続人に遺してやったら良いのでしょうか。相続税は誰がどの様にどちらの国に支払う事になるのでしょうか。
 (Answer)
相続資産が複数の国にあったり、相続人が海外に居られるケースを国際相続と言い、以下の様な点を留意する必要があります。
1)英国では相続執行人が相続税を納税した後相続人に相続資産を分配します。日本では、相続資産が相続人に分配された後、相続人が相続税を申告・納税します。
2)英国ではあなたが過去20年間で15年以上英国在住していたら、あなたの英国資産のみならず日本資産も相続税の対象に含まれます。あなたが英国在住15年未満でしたら英国資産のみが相続税の対象になります。日本では日本国籍の人が海外に移住後10年未満で死亡の場合は、日本及び海外の相続資産が相続税の対象になります。海外に移住後10年以上経過して死亡の場合は日本の相続資産のみが相続税の対象となります。
3)英国では有効な遺言書のみに基づいて相続は執行されます。日本では遺言書に書かれていない法定相続人も遺留分請求の権利があります。
4)相続税の非課税枠、非課税枠を超えた分に対する相続税率も英国と日本で異なります。
5)英国では海外資産が不動産か動産かによって相続税の対象となるかならないかの判断が分かれる場合も有るようです。
6)英国と日本は租税条約を結んでおり、個人所得税・法人税・年金その他の所得に対して、源泉国で申告・納税するか、居住国で申告・納税するか取り決めがありますが、相続税はその租税条約に含まれておりません。という事は、被相続人の税法上のステータス、相続資産が実際何処にあるかによって英国・日本のどちらで相続税の対象となるか、或いは両方で相続税の対象になる事も有り得るのではと思います。その様な場合は、英国で先に支払われた分は、その納税証明書を提出すれば日本ではその分減額されると思います。
この様に国際相続は夫々の国が徴税したいと言う思惑も絡まって大変複雑ですので、上記を考慮して専門家に相談する事をお勧めします。詳しくは、この終活ウェブの英国と日本の相続税の比較のページ(こちら)をご覧ください。
7 (Question)
夫婦で共同名義の自宅があるのですが、一方が死亡した場合、所有権は他方の配偶者に移ると理解していますが、その場合は相続税は掛かるのですか。
(Answer)
配偶者の一方が亡くなって、生存配偶者が相続資産の全てを相続する場合は相続税は掛かりません。その場合、相続非課税枠(NRB – Nil Rate Band)の£325k、住宅非課税枠(RNRB – Residence Nil Rate Band) £175k、合計£500kの非課税枠も生存配偶者に引き継がれます。
8 (Question)
日本に居る姪に生前贈与するのに税金が掛かるのですか。
(Answer)
日本には贈与税と言う税金があり、年間110万円までの贈与は非課税ですが、それを超えた贈与を受けた場合は、その贈与を受けた本人がその贈与所得を申告・納税する義務があります。詳しくはこの終活ウェブの日本の贈与税のページ(こちら)をご参照下さい。
9 (Question)
例えば自分の息子に£1mを住宅購入資金として生前贈与しても、親がその後7年間生存すればそれは相続税の対象から除外され、全く非課税になるとの理解で正しいですか。
(Answer)
はい、その理解で正しいです。
10 (Question)
年間贈与非課税枠£3kや、子や孫へのクリスマス・誕生日の贈与等、何処までその記録を残しておく必要があるのですか。
(Answer)
それらの年間贈与非課税枠内でしたら、記録を残しておくに越した事は有りませんが、記録が無いからと問題になる事は想定されません。詳しくは、この終活ウェブの英国の相続税のページの項目7)贈与の年間非課税枠(Annual Exemption)の項目(こちら)をご参照下さい。
11 (Question)
私の知人が娘さんに£500kを贈与したと仰ってましたが、それは年間贈与非課税枠Annual Exemptionの関係でも問題無いのですか。
(Answer)
はい、英国には贈与税はなく、贈与を受け取った時点で、申告する義務はありません。但し贈与者が贈与後7年未満で死亡した場合は、その分が相続資産の一部として見做され、もし他の相続資産と合算で非課税枠を超えましたら贈与を受けた人がその相続税を支払わなければなりません。詳しくはこの終活ウェブの英国相続税のページ5)潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)の項目(こちら)をご覧ください。
12 (Question)
その潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)の7年ルールとはどのような趣旨ですか。
(Answer)
そもそも英国には贈与税と言う税は無く、生存中に誰が誰にいくら贈与しても非課税です。しかし、相続税は有りますので、その生前贈与に対する非課税から死後の相続に対する相続税にスムースに移行させる為に、潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)と言うルールがあります。
13 (Question)
その潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)で贈与した人が7年未満で死亡した場合は、その贈与は相続資産の一部と見做され相続税が掛かるかもしれないとの事ですが、その場合の相続税は誰が払うのですか。
(Answer)
その場合は、その贈与を既に受けた人がその相続税を払う事になります。しかし、その税率は贈与者が3年未満で死亡した場合は40%ですが、3年以上4年未満は32%、4年以上5年未満は24%、5年以上6年未満は16%、6年以上7年未満で8%と贈与後の生存年数が長くなるにつれて減率されます。詳しくはこの終活ウェブの英国の相続税のページ 5) 潜在的非課税贈与(Potentially Exempt Transfer)の項目(こちら)をご参照下さい。
14 (Question)

英国の相続税は一人当たりの非課税枠(NRB) は£325kで、それを超える相続財産(Estate)に40%の相続税が掛かり、夫婦二人だと£325k x 2 = £650kが非課税枠と理解しています。仮に相続資産(Estate) が£2,650kの場合は、£2,650k – £650k = £2mの課税対象額に対して40%、つまり£800kの相続税が掛かると言う理解で正しいでしょうか。

(Answer)
はい、その理解で正しいと思います。
15 (Question)
生前に子供らに自宅を贈与する場合、Potentially Exempt  Transfer (PET)という制度があり、贈与後3年未満に贈与者が死亡するとそれは相続資産の一部と見做され、非課税枠を超えた分には40%、3年以上7年未満生存すれば減額された相続税が、7年以上生存すれば相続税は掛からないと理解しています。これは夫婦のどちらか一人が7年後も生存していれば0%ですか?Potentially Exempt Transfer による軽減される相続税金額のチャートがありますが。
(Answer)
Potentially Exempt Transfer(潜在的非課税贈与)での7年ルールは、あくまで贈与者の贈与後の生存年数が考慮されます。夫婦共同で贈与した場合は、その夫婦の夫々の贈与分について、夫々の生存年数に拠って別々に考慮して、非課税枠を超えた分に相続税が掛かる・掛からない、掛かる場合はその相続税率が決まると思います。詳しくは、こちらをご覧ください。
16 (Question)

上記の贈与をしてから死亡時までの期間が34年の場合を例に取りますと、相続税額の割合は 80%、これは相続財産が£2,650kと仮定した場合、NRBの£650kを引いた残りの額£2,000kに対して80%、£1,600kの相続税が掛かると言う事ですか? もしそうならQ14より相続税がぐんと高くなるので道理に合わないのですが。それとも、£2m80%=£1.6m、PET80%、つまり£1.6mx80%=£1.28mですか?

(Answer)
潜在的非課税贈与(Potentially Exempt Transfer)の7年ルールの基本的な理解が正確で無いと思います。贈与者が贈与後3年未満で死亡した場合は、その贈与は相続資産の一部と見做され他の相続資産と合算して非課税分を超えた分について、40%の相続税が課せられます。その贈与者の生存年数が3年以上4年未満の場合は32%、 4年以上5年未満は24%、5年以上6年未満は16%、6年以上7年未満は8%、7年以上でその贈与分については相続税は一切掛からなくなります。詳しくは、こちらをご覧ください。
17 (Question)
以前、自宅も含んで子供や孫・義理の子などが相続する場合は、£325kの非課税枠に追加で£100kの住宅非課税枠(Residence Nil Rate Band / RNRB)が適用されると説明を受け、その住宅非課税枠(RNRB)は現在では、一人当たり£175kと理解していますがその理解で正しいですか。
(Answer)
はい、その理解で正しいです。2020年4月以降、子や孫が親から家を含む資産を相続する場合の非課税枠は、被相続人一人当たり£325k + £175k = £500kとなり、父親と母親の両方の非課税枠が引き継がれる場合は£500k x 2 = £1mが非課税枠となります。しかし、住宅非課税枠は住宅を含む相続資産が£2mを超える場合は、その額に応じて住宅非課税枠のみ減額となり、£2,350kで住宅非課税枠はゼロとなりますのでご留意ください。
18 (Question)
私は過去20年間で15年以上英国居住者です。私の死亡の場合は、英国資産と日本資産が英国の相続税の対象になると思いますが、英国の資産は配偶者である英国人の夫に相続させるように私の遺言書に記載してあり、その場合は相続税は配偶者相続として全額非課税だと思います。日本の資産は、日本在住の姪と甥にという遺言書を作成済みで、この点は英国の遺言書にも記載済みです。その場合、姪と甥は日本で相続する私の日本資産のみに税金を払う事になるのでしょうか。 
(Answer)
あなたが、過去20年間で15年以上英国に居住し、英国定住者(Deemed UK Domiciled)と見做され、あなたが亡くなられた場合は、あなたの英国資産のみならず、海外資産も英国相続税の対象となるのは仰る通りです。其の後の、あなたの英国資産を英国のご主人に相続させる場合は、英国相続税は非課税となるとの理解は正しくありません。あなたが、ご自身の遺言書に英国・日本も含めて全資産は配偶者であるご主人に与えると明記してあれば、英国ではあなたの全相続資産に対して相続税は一切掛かりません。しかし、あなたの遺言書に英国の資産はご主人に、日本の資産は日本在住の姪と甥を相続人として指定してあるのでしたら、あなたの英国・日本資産両方を合算して、英国の非課税枠を超えた分に対して英国の相続税40%が課税されると思われます。一方、日本在住の姪と甥は、過去10年間日本在住と思われますので、例えあなたが過去10年間日本在住でなくとも、あなたが亡くなった場合は、あなたの日本資産・英国資産を合算して、日本の国際相続の10年ルールに基づいて日本の相続税の非課税枠を超えた分に対して、日本の相続税を申告・納税しなければならないと思われます。その際、英国で相続税が既に引かれている分は、日本では外国税額控除の対象となると思います。更に、日本在住の姪・甥はあなたの一親等ではありませんので、日本の相続税は2割加算されると思われます。
19 (Question)
英国人の主人とは正式な婚姻関係で日本の戸籍にも記載されていますので、私が死亡時には日本でも法定相続人ですが、「日本での資産は姪と甥に」という遺言書があれば、相続放棄などの正式な手続きは不要でしょうか?
(Answer)
あなたの遺言書には、どの資産を誰に相続させるかはご自由に決められます。しかし、日本の民法では、例え遺言書が有っても法定相続人には法定相続分の半分の遺留分を請求する権利が法的に認められています。その際には、相続者間で、相続資産の分割協議を行い、その合意のもとに相続資産の分割をします。従いまして、英国人のご主人はあなたの日本資産は姪と甥にと言う遺言書に合意し、遺産分割協議書に署名すれば、特に相続放棄の手続きは不要と思われます。一方、英国や日本の相続税は、英国資産であれ日本資産で有れ先ずは合算して、夫々の国の非課税枠を超えた分に対して相続税が掛かります。その場合、英国の相続税と日本の相続税が二重で掛かると言う事は有りませんのでご安心下さい。英国にはForeign Tax Credit Reliefと言う制度があり、日本にも外国税額控除という制度があり、夫々の国での納税証明書を提示すればその分控除される筈です。
20 (Question)
日本の父は既に亡くなっており、日本の母が亡くなった場合、法定相続人は私と日本在住の妹の二人です。その場合、相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円 x 法定相続人2名 4,200万円だと思います。その場合、私が相続放棄をしてもこの 基礎控除額は変らないでしょうか?私が相続放棄をした場合、私は相続していないので英国内での申告不要と言う理解で宜しいでしょうか。
(Answer)
はい。あなたのケースでの相続税の基礎控除額の算出方法はご理解の通りです。そして、あなたが相続放棄しても、相続税基礎控除額は変わりません。更に、あなたが相続放棄して何の収入も無かった場合は勿論日本の税務署にも英国HMRCにも申告する必要は有りません。しかし、もしあなたがお母さんの資産を妹さんと分割して相続した場合は、先ずは日本の相続税が掛かるかどうかがを調べて、相続税が掛かる場合はあなたも日本の税務署に申告・納税する必要があると思われます。一方、そのあなたが日本で相続した資産は、英国HMRCには申告する必要は無いと思われます。その理由は、英国では相続税はあくまでその相続資産の源泉地国で支払われ、相続人はその相続資産を居住地国では申告・納税する必要は無いと思われます。詳しくは、GOV.UK Community Forums の Foreign Inheritance(こちら)をご覧ください。
21 (Question)
Q20で、私の妹が相続資産を全部相続した場合、基礎控除額を超える部分については妹が税金を払う事になると思いますが、その相続税額は、私が相続放棄をせず、妹とともに相続した場合にかかる相続税の合計額とは違うのでしょうか? 
(Answer)
あなたの妹さんが一人で相続した場合と、あなたと妹さんのお二人が相続した場合とでは、相続税の合計額は同じです。日本の相続税の基礎控除額は、あくまで 3,000万円 + 600万円 x 法定相続人数(あなたと妹さんの2名) で算出され、4,200万円です。全相続資産額からその基礎控除額を差し引いた相続税課税対象額を法定相続の割合で夫々の相続人の課税対象額を算出し、それに該当する相続税率を掛け、税額控除して見做し相続税額を算出します。 その夫々の見做し相続税額の合計額を夫々の相続人の実際の相続資産の割合で分け、夫々の相続人の実際の相続税額を算出し、相続人が夫々申告・納税します。詳しくはこちらをご覧ください。
22 (Question)
相続税に関して、自宅が年寄りには大き過ぎ、娘の家族はもっとスペースが必要という事を仮定した場合、お互いの家のOwnershipsはそのままキープし、居住する人間だけが家を移り変わるという事にすると相続税に無関係だと思いますが、法律上、其の他でやるべきことがありますか? 
(Answer)
それは、厳密には不動産の無償貸与として、見做し贈与となるのではと思います。例え家族間で有れ、その様な贈与には年間非課税枠「Annual Exemption」が英国の相続税法で定められており、それを超える場合は、潜在的非課税贈与(PET — Potentially Exempt Transfer)として贈与後7年を超えない期間で贈与者が死亡しますと、その贈与は相続税の対象となります。更に、夫々の方々は実際の居住地の行政に届出を出してCouncil Taxを払い、電気・ガス・水道等の公共サービスや、銀行・社会保険・税金等の住所変更もする事をお勧めします。本来本人が支払うべき費用を他の人が支払うと、それは贈与と見做されると思います。詳しくは専門家にご相談されては如何でしょうか。