Q&A

皆さんからお寄せ頂いたご質問をその回答と共に以下にご紹介します。今後も新たなご質問が有りましたら随時追加して行きます。皆さんの参考にして頂ければ幸いです。

遺言書

1 (Question)
数年前に夫と一緒に遺言書を書き換えましたが、法律的に何年毎に書き換えなければ無効になるとかありますか。
 (Answer)
遺言書は無期限で有効です。しかし数年毎にご自身の状況を見直し、別居・離婚・再婚・死別等の婚姻・家族関係の変化、相続執行人の死亡等がありましたら、遺言書の一部修正又は全部新しい遺言書に作成し直す事をお勧めします。そうしないとその遺言書が無効になるケースも有ります。
2 (Question)
遺言書を作成した人が亡くなりますと、どの様に手続きが進められるのでしょうか。
 (Answer)
遺言者が亡くなりますと、その遺言書が法的に有効かどうか裁判所で検認を受けた後、その遺言書に記載された相続執行人(Executor)が必要な相続税を支払い、相続資産を相続人に分配します。
3 (Question)
遺言書について、知人から何か市販されている遺言書に記入して二人の証人の署名をもらえばそれで有効だと聞きましたが、それは正しいでしょうか。
 (Answer)
基本的にその理解は正しいです。相続資産が英国のみにあり、相続人も英国居住者で被相続者と相続者がシンプルな関係でしたらそれで結構かと思います。しかし、離婚・再婚等で複数の家系の相続人が居たり、又はご自身の相続資産が英国や日本にあったり、相続人が日本居住者であったりする国際相続等の場合は専門家に相談する事をお勧めします。
4 (Question)
遺言書やLPAの証人の職業について何か特別な条件は有りますか。
 (Answer)
遺言書やLPAの証人の職業は、特に条件はありません。18歳以上の成人で、遺言書の場合はその証人が相続人、又は相続人の関係者で無い事のみが条件です。LPAの場合は本人を2年以上知っている人である事が条件です。
5 (Question)
私は英国と日本に資産が有るのですが、英国資産の遺言書と日本資産の遺言書を別々に作成した方が宜しいですか。
 (Answer)
日本の財産はどの様に相続させるか、別の日本の遺言書を作成する事は出来ますが、英国の遺言書にはその日本の財産も含めてどの様に相続させるかを明記しておく事をお勧めします。と言いますのは、あなたが過去20年間中15年以上英国に居住していましたら、あなたの英国資産・日本資産の両方が相続税の対象になるからです。
6 (Question)
私は英国には不動産も無く、余り心配していませんが、日本の相続財産については、日本の弁護士に相談したいと思っていますがそれで宜しいですか。
(Answer)
もしあなたが英国で死亡して、過去20年間で15年以上英国居住者であった場合、あなたの英国資産のみならず日本の資産も英国の相続税の対象になります。どなたかが死亡した場合、先ずは相続資産はいくらあるか、遺言書はあるか・無いか、そして遺言書が無い場合は誰が法定相続人かを特定するのは大変困難な作業です。従いまして、もしあなたが英国に骨を埋めるお積りでしたらその日本資産も含めてどなたに相続して欲しいか英国で有効な遺言書を作成する事をお勧めします。
7 (Question)
遺言書を作成せずに死亡した場合、相続する家族・親戚縁者が居ない場合は最終的には国がその相続財産を没収する事になるのですか。
 (Answer)
はい、そうです。被相続人に配偶者・子・孫が居ない場合は、次の相続順位として父母、その次に兄弟姉妹(又は甥・姪)、その次に異父母兄弟姉妹(又は甥・姪)、その次に祖父母、その次に叔父叔母(又はその子)、その次に異父母叔父叔母(又はその子)の順に相続します。それらの親戚縁者が居ない場合は国が没収します。その様に、遺言書無しで死亡すると、その人に法定相続人が居るか・居ないかその人の親戚縁者を辿る事は大変時間と費用が掛かりますので、その点からも相続資産の多寡に拘わらず遺言書を作成する事をお勧めします。
8 (Question)
私の友人で英国在住の70歳を過ぎた日本人ですが、英国にも日本にも家族が居らず、英国籍も取得せずに日本国籍のままハッピーに暮らしています。もしその方ご自身が亡くなられた場合、日本大使館には死亡者の身内の人が死亡届を提出して、日本の戸籍の抹消手続きがされると理解していますが、その様な英国にも日本にも身内のいない場合はどうすれば宜しいのでしょうか。英国籍に代えた方が簡単でしょうか。
 (Answer)
日本大使館領事班戸籍担当者と確認しましたが、死亡届を提出出来る人は、原則同居の親族、又は同居者等で、親族の場合は同居していなくても可です。同居者や親族が英国にも日本にも居ない場合は、どなたかが日本大使館に出向いて事情を説明すれば、日本大使館の職員が代わりに死亡届の届出人になるのも可能との事でした。その様な死後の諸々の手続きは、遺言書の相続執行人(Executor)に日本語の分かる人を指名し、その相続執行人に以下の様な他の事も含めて依頼されるのをお勧めします。
1)お住まいのCouncilへの英国の死亡届の提出
2)日本大使館へ死亡の連絡をし日本大使館の職員が死亡届を提出
3)英国・日本の年金事務所への連絡
4)英国・日本の銀行口座・クレジットカードの凍結
5)電気・水道・ガス・固定電話・携帯電話・インターネット・TV Licence等のキャンセル
6)葬儀・埋葬の手配
7)相続税の支払い・相続の執行
日本大使館への死亡届が提出出来る人がいないと言う理由だけで日本国籍を英国籍に変更する必要は無いのではと思います。日本大使館への死亡届の提出についての詳しい情報は、この終活ウェブの日本の死亡届のページ(こちら)をご参照下さい。

 

LPA(Lasting Power of Attorney)

1 (Question)
今3人のAttorneyを考えていますが何人が適当なのでしょうか。又、一度Attorneyを決めてサインをした後、Attorneyを変更する事は可能ですか。
 (Answer)
Attorneyは一人でも複数名でも可能で、複数名の場合は、全員が合意する必要があるJoint Attorney と、複数名の内一人のAttorneyが単独で判断出来る Joint and several Attorneyがあります。Attorneyを変更する場合は、LPAを新たに作成し、登録し直す必要があります。複数名の内あるAttorneyを除外する場合は、LPAを作成し直すのではなく、OPG (Office of the Public Guardian)での変更手続きで修正可能です。予備としてReplacement Attorneyを記載しておくとAttorneyの変更も簡単です。詳しくはこの終活ウェブの英国のLPAのページ(こちら)をご参照下さい。
2 (Question)
英国に親族が居ないので英国在住の若い友達をAttorneyにお願いする積りですが、日本に居る甥を共同でAttorneyに指定する事は出来るでしょうか。
 (Answer)
Attorneyは必ずしも英国居住者で無くても構いませんので、日本居住者をAttorneyに指定する事は可能です。但し、LPAにその方の署名が必要ですし、実際にAttorneyとして役割りを果たして頂く事態になったら、Joint AttorneyかJoint and several Attorneyかでそれぞれの必要な判断・行動をして頂く事になります。
3 (Question)
知人のケースで二人のAttorneyが居り、その内の一人のAttorneyが主に資産管理を行っていますが、そのAttorneyが資産を不正流用しているのではとの疑いがあります。どの様に対応すれば宜しいですか。更にそのAttorneyには会計報告の義務は有りますか。第三者がそのAttorneyの行為に疑義を挟む事は出来ますか。
 (Answer)
その様な場合、OPG (Office of Public Guardian)に相談される事をお勧めします。OPGは、Attorneyが忠実・誠実にAttorneyの業務を行っているか監査する権限があり、必要に応じて警察に通告する事も出来ます。詳しくは終活ウェブの英国のLasting Power of Attorneyのページ(こちら)をご覧ください。
4 (Question)
私は今は心身共に健康ですが、向う数年間LPAを作らない場合のリスクは有りますか。どの様な時にLPAが無ければ困る事が想定されるのですか。
 (Answer)
ご自身が自分で判断出来なくなると言う状況は、認知症のみならず、脳・心臓の病気、又は交通事故でも意識不明状態になる事もあり得ます。もしその意識不明状態が長引きますと、その人に代わって家族・親戚でも銀行取引、施設に入居、不動産を処分等の契約を代行する事は出来ません。その様な場合は裁判所によってDeputyと言う代理人が指名されますが、その手続きに時間と数千ポンドの費用が掛かります。しかし、事前にLPAが準備してありますと、Attorneyによる代理行為がスムースに可能になります。詳しくはこの終活ウェブの英国のLPAのページ(こちら)を参照下さい。
5 (Question)
LPAが無い場合で万が一の場合、裁判所がDeputyを指名するとの事ですが、そのDeputyは英国在住の方になるのですか。
(Answer)
裁判所はその本人の近親者とヒアリングをしてどなたがDeputyとして最適か決めますが、やはり英国在住の人が指定される事になると思います。Deputyに指名されますと、一部費用をデポジットとして前払いしたり、定期的に裁判所に報告する義務がありますので、日本在住の方には負担が大きいのではと思います。
6 (Question)
LPAに3名のAttorneyを定めている場合、その3名のAttorney がJoint Attorney であろうと、Joint and several Attorneyであろうと、どなたか一人が亡くなった場合は、LPAはもう一度作成し直さなければならないのですか。
 (Answer)
はい、その様に3人 Joint 又は Joint and several Attorneyに指名されていてどなたか一人が死亡しますと、そのLPAは無効になります。その様な時の為にReplacement Attorneyを指名しておく事も一案です。
7 (Question)
Age UKが提供しているもので、私はAdvanced decision to refuse treatment と言う書類を準備したのですが、これはHealth and welfare LPAの事ですか。
 (Answer)
Age UKのサイト(こちら)を確認しましたが、あなたが作成したAdvance Decision という書類は、Health and welfare LPAとは異なる、日本語では終末期医療事前指示書(Living Will)と言うものだと思います。それは、ご自身が終末期の自分の治療方針について事前に医療関係者への指示を書類として残しておくもので、記載事項はかなりHealth and welfare LPAと重複する部分があります。しかし、Advance Decisionは、延命治療を望まないと言う命に係わる項目が含まれていない限り証人の署名は必要ありませんし、Attorneyも指定されて居らず、OPG (the Office of Public Guardian)に£82を支払って登録する必要もありません。もしあなたがAdvance DecisionとHealth and welfare LPAの両方を作成して、内容に食い違いがある場合は日付の新しい方が優先されます。詳しくは、この終活ウェブの終末期医療事前指示書のページ(こちら)をご覧ください。
8 (Question)
英国のLPAに相当する日本の制度の名前は何で、それは日本で法制化されていますか。
 (Answer)
英国のLPA制度に相当する日本の制度は成年後見制度と呼ばれており、法制化されています。詳しくは、この終活ウェブの成年後見制度のページ(こちら)をご参照下さい。
9 (Question)
私の知人で英国在住の日本人が、日本在住の二人の姉妹をLPAに指定したのですが、そのAttorneyとなった二人の姉妹は英語が話せないのですが、何かアドバイスは有りますか。
(Answer)
その二人の姉妹が英語が分からないとの事でしたら、Attorneyをその二人の姉妹では無く、英国のSolicitorに変更される事をお勧めします。その方が経費は掛かりますが、物事がスムースに進むと思います。英語の分からない日本の姉妹がその様な事態になった時に、Attorneyとしての役割をこなすのは大変なのではと心配します。
10 (Question)
Health and welfare LPAで、本人が不治の病に罹った場合は延命治療を望まない・拒否すると記載したとしても、英国では本人の希望に基づいて延命治療をせず、医師が安楽死・尊厳死をさせる事は法的に認められていますか。
(Answer)
世界で尊厳死が合法化されている国は、スイス・米国・フランス・ドイツ・デンマーク・台湾で、安楽死が合法化されている国は、オランダ・ベルギー・ルクセンブルグ・米国の一部の州(オレゴン州・ワシントン州・モンタナ州・バーモント州)が有ります。しかし、英国では尊厳死・安楽死が合法化されておらず、本人の望みに従って延命治療をしないと言う事が自殺幇助として犯罪行為となり懲役14年の可能性もあります。とは言え近年個々の実際のケースとして尊厳死を認める様に裁判所に訴え、それが認められたり認められなかったり様々です。詳しくは、この終活ウェブの尊厳死のページ(こちら)をご覧ください。
11 (Question)
Health and welfare LPAで指定されたAttorneyの意見と本人の主治医のGPとで意見が食い違った場合はどうなるのですか。
(Answer)
勿論本人の主治医であるGPの医学的な見地からの意見は尊重されなければなりませんが、治療に対する最終判断はAttorneyがLPAに記載されたPreferenceやInstructionに基づいて本人の最大の利益の為に判断する事が求められます。
12 (Question)
英国で、どのくらいの方がLPAを作成しているのですか。
(Answer)
英国では遺言書は約4割の方が作成していると言われていますが、LPAを作成している方は遺言書に比べてずっと少ないと思われます。その理由は、死は必ずどなたにも訪れますが、認知症や長期の意識不明は必ずしも皆さんがその様な状態になる訳でもありませんし、LPAと言う制度自体の認知度が低いと言うのも一因ではと思われます。
13 (Question)
LPAのOPG (Office of Public Guardian)への登録料は一件当たり£82と聞きましたが、LPAの作成を弁護士事務所に依頼すると費用はどの位掛かりますか。
(Answer)
安い所で一件当たり£200、高い所で£500‐600位かと思います。安い所は、本人(Donar)、Attorney、Certificate Provider、People to Notify を記入して終わりの所も有ったり、料金の高い所はそれなりに本人とのディスカッションに時間を割いて、本人の色々な希望を聞いてそれを丁寧にLPAのPreference やInstructionに反映してくれます。一方、インターネットでご自分で入力してLPAを作成したり、フォームをダウンロードして手書きで作成する事も可能です。その場合はLPAの作成手数料は掛かりません。

 

相続税

1 (Question)
相続人が英国居住者か外国居住者かで何か差は有りますか。そして、英国では相続税を支払ってから相続資産が相続人に分配されます。一方、日本では先ずは相続人に相続資産が分配されてから相続人が相続税を支払いますが、その辺は日本の相続人はどの様に相続税は英国と日本とで掛かってくるのでしょうか。
 (Answer)
相続人が英国居住者か日本居住者かで何か扱いに差があると言う事は有りません。相続税に就いては、英国では過去20年間で15年以上英国の居住者であった場合、英国資産・海外資産の全てが相続税の対象になります。そして、英国の相続税は相続執行人によって支払われた後、相続人に分配されます。しかし、日本では日本国籍の人が海外に移住して10年未満で死亡した場合は日本のみならず海外の相続資産も相続税の対象になり、海外移住後10年以上経過して死亡した場合は日本の相続資産のみが相続税の対象になります。そして、日本の相続人が海外から相続資産を受け取った場合は、日本でも相続税が掛かるかも知れませんが、その場合英国で相続税が支払われた分は、その納税証明書を提出する事により日本ではその分減額される事になると思われます。
2 (Question)
自宅をダウンサイジングして、新しく購入するフラットを相続税対策として子や孫と共同名義にする事を考えていますがどう思いますか。
 (Answer)
そのお考えは、共同購入者は18歳以上である事、その新しいフラットに住む人は、一緒に住まない人に家賃を支払わなければならない事、共同名義で購入して同居しない人が居る場合は投資用住宅と見做され、Stamp Dutyが追加3%掛かる事、再度売却する際にはCGT (Capital Gain Tax)18%か28%掛かかる事、相続の際の住宅非課税枠 (RNRB)が影響する事等を考慮して実際に具体的な金額に基づいて専門家にシュミレーションを依頼し、それが相続税の節約になるかどうか事前に確認された方が宜しいかと思います。
3 (Question)
孫の学費一学期£7.2kを援助したいのですが、どうすれば良いですか。
(Answer)
贈与の年間非課税枠£3k、夫婦二人で£6k、昨年分を未使用の場合2年分で£12kまで非課税枠があります。或いはご自身の定期収入から支出出来れば支出し、又は一時金で支払いPET – Potential Exempt Transfer (潜在的非課税贈与)の7年ルールに期待する等を検討されては如何でしょうか。詳しくはこの終活ウェブの英国相続税のページ(こちら)をご参照下さい。
4 (Question)
11年前に息子に家の購入資金の一部として援助した£400kは既に7年を過ぎていますので、相続税の対象外が確定したと思って正しいですか。
 (Answer)
その通りです。
5 (Question)
出来るだけ相続税を節約する方法は、出来るだけ使うと言う事で宜しいですか。
 (Answer)
相続税を節約する為には、先ずはご自身の相続資産が総額いくらあって、誰に相続させたいか、その場合、相続非課税枠は超えるか超えないか、超えた場合実際相続税はどの位になるか、年間非課税枠(Annual Exemption)を利用して生前贈与はどうか、或いはその枠を超えて一時金で贈与しPETの7年ルールに期待するのはどうか、チャリティ団体への寄付は全額非課税だがどうか等を考慮されては如何でしょうか。相続させたいと思う方がいらっしゃらないのでしたら、ご自身で使い切る事が一番だと思います。
6 (Question)
私は英国と日本に資産が有りますが、それをどの様に日本の相続人に遺してやったら良いのでしょうか。相続税は誰がどの様にどちらの国に支払う事になるのでしょうか。
 (Answer)
相続資産が複数の国にあったり、相続人が海外に居られるケースを国際相続と言い、以下の様な点を留意する必要があります。
1)英国では相続執行人が相続税を納税した後相続人に相続資産を分配します。日本では、相続資産が相続人に分配された後、相続人が相続税を申告・納税します。
2)英国ではあなたが過去20年間で15年以上英国在住していたら、あなたの英国資産のみならず日本資産も相続税の対象に含まれます。あなたが英国在住15年未満でしたら英国資産のみが相続税の対象になります。日本では日本国籍の人が海外に移住後10年未満で死亡の場合は、日本及び海外の相続資産が相続税の対象になります。海外に移住後10年以上経過して死亡の場合は日本の相続資産のみが相続税の対象となります。
3)英国では有効な遺言書のみに基づいて相続は執行されます。日本では遺言書に書かれていない法定相続人も遺留分請求の権利があります。
4)相続税の非課税枠、非課税枠を超えた分に対する相続税率も英国と日本で異なります。
5)英国では海外資産が不動産か動産かによって相続税の対象となるかならないかの判断が分かれる場合も有るようです。
6)英国と日本は租税条約を結んでおり、個人所得税・法人税・年金その他の所得に対して、源泉国で申告・納税するか、居住国で申告・納税するか取り決めがありますが、相続税はその租税条約に含まれておりません。という事は、被相続人の税法上のステータス、相続資産が実際何処にあるかによって英国・日本のどちらで相続税の対象となるか、或いは両方で相続税の対象になる事も有り得るのではと思います。その様な場合は、英国で先に支払われた分は、その納税証明書を提出すれば日本ではその分減額されると思います。
この様に国際相続は夫々の国が徴税したいと言う思惑も絡まって大変複雑ですので、上記を考慮して専門家に相談する事をお勧めします。詳しくは、この終活ウェブの英国と日本の相続税の比較のページ(こちら)をご覧ください。
7 (Question)
夫婦で共同名義の自宅があるのですが、一方が死亡した場合、所有権は他方の配偶者に移ると理解していますが、その場合は相続税は掛かるのですか。
(Answer)
配偶者の一方が亡くなって、生存配偶者が相続資産の全てを相続する場合は相続税は掛かりません。その場合、相続非課税枠(NRB – Nil Rate Band)の£325k、住宅非課税枠(RNRB – Residence Nil Rate Band) £175k、合計£500kの非課税枠も生存配偶者に引き継がれます。
8 (Question)
日本に居る姪に生前贈与するのに税金が掛かるのですか。
(Answer)
日本には贈与税と言う税金があり、年間110万円までの贈与は非課税ですが、それを超えた贈与を受けた場合は、その贈与を受けた本人がその贈与所得を申告・納税する義務があります。詳しくはこの終活ウェブの日本の贈与税のページ(こちら)をご参照下さい。
9 (Question)
例えば自分の息子に£1mを住宅購入資金として生前贈与しても、親がその後7年間生存すればそれは相続税の対象から除外され、全く非課税になるとの理解で正しいですか。
(Answer)
はい、その理解で正しいです。
10 (Question)
年間贈与非課税枠£3kや、子や孫へのクリスマス・誕生日の贈与等、何処までその記録を残しておく必要があるのですか。
(Answer)
それらの年間贈与非課税枠内でしたら、記録を残しておくに越した事は有りませんが、記録が無いからと問題になる事は想定されません。詳しくは、この終活ウェブの英国の相続税のページの項目7)贈与の年間非課税枠(Annual Exemption)の項目(こちら)をご参照下さい。
11 (Question)
私の知人が娘さんに£500kを贈与したと仰ってましたが、それは年間贈与非課税枠Annual Exemptionの関係でも問題無いのですか。
(Answer)
はい、英国には贈与税はなく、贈与を受け取った時点で、申告する義務はありません。但し贈与者が贈与後7年未満で死亡した場合は、その分が相続資産の一部として見做され、もし他の相続資産と合算で非課税枠を超えましたら贈与を受けた人がその相続税を支払わなければなりません。詳しくはこの終活ウェブの英国相続税のページ5)潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)の項目(こちら)をご覧ください。
12 (Question)
その潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)の7年ルールとはどのような趣旨ですか。
(Answer)
そもそも英国には贈与税と言う税は無く、生存中に誰が誰にいくら贈与しても非課税です。しかし、相続税は有りますので、その生前贈与に対する非課税から死後の相続に対する相続税にスムースに移行させる為に、潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)と言うルールがあります。
13 (Question)
その潜在的非課税贈与(PET – Potentially Exempt Transfer)で贈与した人が7年未満で死亡した場合は、その贈与は相続資産の一部と見做され相続税が掛かるかもしれないとの事ですが、その場合の相続税は誰が払うのですか。
(Answer)
その場合は、その贈与を既に受けた人がその相続税を払う事になります。しかし、その税率は贈与者が3年未満で死亡した場合は40%ですが、3年以上4年未満は32%、4年以上5年未満は24%、5年以上6年未満は16%、6年以上7年未満で8%と贈与後の生存年数が長くなるにつれて減率されます。詳しくはこの終活ウェブの英国の相続税のページ 5) 潜在的非課税贈与(Potentially Exempt Transfer)の項目(こちら)をご参照下さい。

 

介護

1 (Question)
日本で老人ホームに入居した場合、その入居費用も介護保険から支払われるのでしょうか。
 (Answer)
老人ホームの入居費用や三食の食事代は、本人が介護サービスを必要としなくとも基本的に生活していく上で費用が掛かりますので、それらは介護保険の対象外と思われます。あくまで、本人の直接的な介護サービスの費用のみが介護保険の対象となります。
2 (Question)
日本のケアホームは英国のケアホームと比べて費用の違いはどの位ですか。
 (Answer)
日本と英国のケアホームの費用を単純比較しますと、日本のケアホームは英国の1/3か1/4かと思われます。その理由は日本には介護保険があり、介護サービスは其の人の年収に応じて実際の費用の1割・2割・3割自己負担で介護サービスを受けられるからです。特養(特別老人養護施設等の公立の施設は費用も安いですが、入居に2年位待たされる場合もあります。日本と英国のケアホームの違いは、その様な費用面のみならず、ケアマネージャー・スタッフの介護資格・訓練の有無・仕事への忠実度・衛生観念等も間違いなくあります。
3 (Question)
英国のケアホームを選ぶのに何か参考に出来る情報は有りますか。
 (Answer)
英国のケアホームを中立の立場から評価する団体としてCQC (Care Quality Commission)があります。そこのレポートを参考にされては如何でしょうか。インターネットサイトは https://www.crc.org. uk です。
4 (Question)
欧州の他の国の介護制度について教えて頂けますか。
 (Answer)
唯一知っているのはデンマークですが、デンマークは税金が高く、VATも25%ですが、介護費用は個人負担は無く全て国の負担と聞いています。その為かどうかは分かりませんが、デンマークは世界で一番国民が幸せと思っている国だそうです。因みに日本の幸福度は世界で28番目だそうです。

その他一般

1 (Question)
終活ウェブ上の諸々の情報は、日々制度が変わる毎に更新されていると思って宜しいですか。
 (Answer)
終活ウェブの管理者として、その様な制度変更があった場合ウェブの内容もそれに応じて更新する様最大の注意を払っていますが、保証の限りではありません。皆さんには終活ウェブ上の情報はあくまで参考として、実際に何かを判断して行動する場合にはご自身で情報を確かめたり、専門家に相談して物事を進める事をお勧めします。
2 (Question)
私の取引しているBarclay Bankはインターネットでの送金額は最高で£10,000ですが、例えば£500,000の高額な送金は出来るのでしょうか。
 (Answer)
送金限度額は銀行によってまた手配方法によっても異なります。HSBCは以下の通りでした。
Telephone Banking : Maximum £1m
Online Banking : £25,000 per day
Branch : 限度無し
3 (Question)
私はオーストラリアに居住経験があり、オーストラリアは日本と租税条約を結んでおり、二重課税は無いと理解していますが、英国は日本と租税条約を結んでいるのでしょうか。
 (Answer)
はい、英国は日本と個人所得税・法人所得税・譲渡所得税等の租税条約を結んでおり、それらに就いては二重課税はされない仕組みになっています。
4 (Question)
私は英国で確定申告をして居ませんが、私が日本に引っ越した後、英国の不動産(セカンドハウス)を売却した場合、その譲渡利益について英国から日本に居る私に税金の督促は来るのでしょうか。
 (Answer)
その様な事が英国のHMRCや日本の国税局に見つかるか見つからないかは分かりません。しかし、近年は世界の国同士が個人の金融資産情報を交換し合って、不正取引・脱税等を監視していると言われていますので、正直に申告・納税をお勧めします。
5 (Question)
英国の家を売却後、数日後に日本に帰国すると言う事は物理的に可能でしょうか。
 (Answer)
はい、確かに英国の家を売る場合、売買が合意・契約書にサインされてから(Exchange of contract) 実際に契約の実行 (Completion of contract)まで1-2ヶ月かかる場合もあります。その辺は、時間に余裕を持って物事を進められる事をお勧めします。 
6 (Question)
英国の不動産を売却して税金が掛かるとは、家の売買価格に対して所得税が掛かるのですか。
(Answer)
いいえ。英国の不動産を売却して税金が掛かるのは、譲渡利益税(Capital Gain Tax)で、不動産の売買価格から購入価格と所有期間中の改築費・維持費を差し引いた純利益に対して18%か28%の税金が掛かります。その不動産が所有者の主要な居住目的で実際に居住しており、投資・賃貸・商用等の目的で無ければその譲渡利益には税金はかかりません。